今回取り上げるのは、現在の日本競馬を
語る上で欠かす事が出来ない馬
ディープインパクト。
最近、競馬に興味を持った方からすると
父としてのイメージが
強いかもしれませんが、
現役時代は「日本近代競馬の結晶」
と言われるほどの圧倒的な強さを
見せた馬でした。
無敗の三冠、G1・7勝を挙げた
競走馬としても、
6年連続リーディング種牡馬としても
競馬界を牽引する英雄、
ディープインパクトについて、
現役時代の動画と共にご紹介していきます。
ディープインパクトの成績/戦績は?
Japanese Derby winner: Deep Impact / nakashi
14戦12勝【12.1.0.1】JRA史上最多タイの
G1・7勝を挙げたディープインパクトは
2歳の12月にデビュー。
デビュー戦で、後に重賞4勝する
強豪相手に完勝すると、
2戦目となったオープン特別では
直線だけで10馬身差を差し切るどころか、
逆に2着に5馬身差をつける圧巻の走りを披露。
わずか2戦でクラシック戦線の本命と
目されるようになります。
トライアルの弥生賞を勝ち、
大本命として出走した皐月賞。
ゲートが開いた瞬間に躓き、4馬身もの出遅れ。
G1で絶望的とも思えるビハインドも
ディープインパクトには関係なく
直線であっさりと先頭に立ち、
無傷で皐月賞を制します。
続く日本ダービーでは、
史上最高の単勝支持率を集め
1.1倍というオッズで出走。
広いコースを伸び伸びと走り、
5馬身差のレコードタイで二冠を制しました。
前哨戦を完勝して臨んだ菊花賞では、
1周目の3コーナーで掛かってしまう
チグハグな競馬となりますが、
直線でいつも通りの伸びを見せ
史上6頭目となる三冠を達成。
無敗での三冠はシンボリルドルフ以来
21年ぶり2頭目という快挙でした。
3歳にして伝説となりつつある
ディープインパクトは、現役最強の座を
確固たるものにするために
有馬記念に出走しますが、
直線でいつもの伸びが影を潜め、
まさかの2着に終わり、
デビュー以来の連勝がストップ。
「競馬に絶対は無い」という格言を
示す形になってしまいました。
古馬となり秋の海外遠征を見据え、
4歳の春シーズンは国内に専念。
春の天皇賞は世界レコードで、
宝塚記念では稍重の馬場を気にせずに快勝し、
日本競馬界の悲願である
フランス凱旋門賞に挑むことになります。
すでに世界的にも評価を高めていた
ディープインパクトですが、
体調不良とフランス特有の重い馬場が
合わなかったのか3位入線。
その後の検査で禁止薬物
(日本では使用可能な薬物)が検出され、
失格処分が科させるという
苦い遠征になってしまいます。
帰国緒戦に選ばれたジャパンカップでは、
フランスで鳴りを潜めた末脚が爆発し、
6つ目のG1タイトルを獲得した
ディープインパクトは引退レースとして、
前年に苦杯を舐めた有馬記念に出走。
出走馬のG1タイトルが17と
有馬記念史上最多の豪華メンバーが
集結したグランプリを見事に制し、
2年に渡る競走馬生活に別れを告げました。
ディープインパクトの驚きの賞金額は?
史上最多タイのJRA G1・7勝、
G2・3勝を挙げたディープインパクトは、
14億5,455万円の賞金を獲得しています。
これより上にいるのは、キタサンブラックと
テイエムオペラオーですが、どちらも
ディープよりも1年長く現役生活を送りました。
タラレバは禁物ですが、
ディープインパクトがもう1年長く
現役だったとしたら、驚きの
20億円超えを果たしていたかもしれません。
ディープインパクトの動画
ディープインパクトの魅力は、
なんと言っても見ていて爽快な末脚。
とうてい届きそうもない位置から
軽やかに伸びていく姿は、
「飛んでいるよう」と言われました。
そんなディープのレースを
動画でご覧いただきましょう。
1.ジャパンカップ
1つ目に取り上げるのは2006年の
ジャパンカップ。日本中のファンが
勝利を信じて疑わなかった凱旋門賞で、
まさかの失格という憂き目にあった
ディープの国内復帰戦です。
体調不良から投薬されていた事、
ロンシャンでいつもの伸びが
見られなかった事から、一部では、
ディープインパクト限界説も
囁かれる中でのレースでしたが、
結果は最後方追走から、
圧巻の末脚を見せて完勝。
気難しい面もあった
ディープインパクトの走りが
完成した瞬間でした。
2.菊花賞
次は史上2頭目となる無敗の三冠を達成した
2005年の菊花賞です。
菊花賞史上最高の13万人を超える観衆が
集まる中、単勝1.0倍(!?)の圧倒的1番人気で
出走したディープインパクト。
1周目の3コーナーで、上がって行こうとします。
なだめようとする騎手との
折り合いが付いていないのか、
1周目のスタンド前を通過する頃には
どよめきが起こります。
向こう正面に入った頃には
落ち着きを取り戻したディープインパクトは、
2周目の3コーナーから指示に従って加速。
前半のロスが嘘のような
末脚を繰り出し、
見事に1着に輝きました。
3.有馬記念
ディープインパクトの
「英雄伝説」最後となったのが
2006年の有馬記念。
ファンも関係者も魅了し続けた
英雄は、ラストランでも
らしさを発揮しました。
3コーナーから徐々に進出し、
Goサインが出ると最後の翼を広げ、
あっという間に先頭へ。
最後の100mは騎手が追うのを抑える完勝。
まだまだ見ていたいと思わせる
圧巻のレースを見せ、
ターフを去っていきました。
JRAのオフィシャルチャンネルの
動画をご紹介しましたが、
菊花賞と有馬記念はフジテレビのものが
名実況だったりします。
お時間のある方は、
フジテレビ版も探してみてください。
ディープインパクトの子供の数は?
種牡馬となったディープインパクトの下には、
世界中から良血の繁殖牝馬が集まりました。
子供の成績が悪ければ、
種付け数が減少していってしまいますが、
初年度から活躍馬を出したことで
高い人気をキープ。
高額な種付け料にも関わらず、
毎年200頭ほどと交配し続けており、
1000頭以上の産駒が
JRAでデビューを果たしています。
ディープインパクトの種付け料はいくら?
日本で繋養された種牡馬としては
最高額となる51億円のシンジケートが
組まれたディープインパクト。
毎年のようにG1ホースを出し、
種牡馬リーディングのトップを
走り続けている事から
種付け料も年々アップしています。
当初は1200万円だった種付け料は、
2018年にはプライベート扱いながら
4000万円!
種付け料だけで4000万円
ということは、
少なく見積もっても
ディープの子どもを買うには
5000万円は必要になってきます。。。
ディープインパクトの子供は
ヨーロッパでも活躍しており、
世界中からその血を求められています。
ディープインパクトの血統は?
ディープインパクトの血統についても
紹介しましょう。
父はアメリカ二冠馬サンデーサイレンス。
種牡馬として日本に輸入されると、
子どもたちが瞬く間に大活躍。
日本産の競走馬の質を
世界と戦えるレベルまで引き上げた
立役者とも呼べる存在です。
後継となった種牡馬は数知れず、
今の日本競馬ではサンデーの血が
入っていない活躍馬は、
ほとんどいないと言える
歴史的名種牡馬・サンデーサイレンスの
最高傑作がディープインパクトなんです。
そして、ディープの母は
妊娠中にドイツでG1を制したという
逸話があるウインドインハーヘア。
1つ上の全兄にブラックタイドがいます。
ブラックタイドという馬に
見覚えがありませんか?
彼は、最多獲得賞金記録を
更新したキタサンブラックの
父親です。
ディープインパクトの性格は?
普段は非常に人懐っこく、
大人しい手のかからない性格だった
というディープインパクトですが、
「走りたい!」という思いが強く
レースでのコントロールが
難しい馬だったと言います。
他の馬が前を走っていると、
抜かそうと闘争心を出すため、
抑えるのも一苦労。
調教やパドックで
うるさい面を出すことも多くありました。
関係者は辛抱強く、
我慢することを覚えさせていき、
長距離のレースでも
鞍上の指示通りに走るよう
成長させていきました。
ディープインパクトの脚質は?
ディープインパクトの代名詞は
強烈な差し脚。後方からの
目の覚めるような追い込みで、
ファンを魅了しました。
これは、走ろうという気持ちが
強過ぎるディープインパクトを
コントロールするために、
ゆったりとしたレースの進め方を
鞍上が教え込んだためでした。
本来、追い込む競馬は
展開の助けが必要だったり、
前に馬が多い分アクシデントを
受けやすかったり、
進路がなくなり末脚を
発揮できないまま
レースが終わったりする
リスクがあるため、
連勝が難しい脚質だと
言われています。
しかし、圧倒的に“足が速い”
ディープインパクトには関係がなく、
掟破りの脚質で勝ち星を重ねて行きました。
ディープインパクトの騎乗騎手って誰?
そんなディープインパクトに
デビューから引退まで
騎乗し続けたのが天才・武豊騎手。
数々の名馬に跨ってきた
レジェンドですが、
ディープは特別な存在だったようです。
乗り味の良さと危うい面を併せ持つ
ディープインパクトの手綱を握ることは、
騎手としての大きな喜びと
それ以上の責任を感じていたようで、
武騎手をしてもプレッシャーとの
戦いの日々だったと言います。
実際、元騎手で名手と言われた
岡部幸雄さんは、
「武騎手だから御せた馬」と
ディープインパクトの難しさを
語っています。
また、並の騎手ならば、
走る気をなだめられずに
暴走気味に逃げる馬になっていたと
ディープを分析する評論家もいます。
そんなディープインパクトの能力を
フルに発揮させるために、
ゆったりとしたレースの仕方を
教えて行ったのが武豊騎手。
武騎手と出会っていなければ、
人々を魅了する末脚も
これだけの成績も
残せなかったかもしれません。
ディープインパクトの馬主
黒、青袖、黄鋸歯形の勝負服が印象的な
ディープインパクトの馬主は
金子真人さん。
(ディープの現役中に個人名義から、
金子真人ホールディングスに変更)
ディープインパクトのみならず、
キングカメハメハ、マカヒキでもダービー制覇。
他にも牝馬三冠馬アパパネやクロフネ、
カネヒキリ、ラブリーデイなど
多くのG1馬を所有しています。
アパパネやラブリーデイは
キングカメハメハの子供。
マカヒキはディープインパクトの子供と
自身の所有馬の産駒でG1勝利。
牡馬三冠、牝馬三冠、ダービー3勝、
個人馬主として初の旧八大競走完全制覇と、
馬主にとって夢のようなことを
次々と実現させている
「リアル・ダビスタ」なオーナーです。
ディープインパクトの子供は?
キズナ – 第58回産経大阪杯 / Kizuna – Hanshin Racecourse / Ogiyoshisan
父となったディープインパクトは、
これまで多くの活躍馬を輩出しています。
日本とドバイでG1・7勝を挙げた
三冠牝馬ジェンティルドンナ。
ディープブリランテ、キズナ、マカヒキ
といったダービー馬たち。
香港とフランスでG1を勝った
エイシンヒカリなどなど、
名前を挙げるとキリがないほど。
子供たちは160以上の重賞で
勝利しており、この数は現役種牡馬
ダントツのトップです。
また、孫の世代もデビューしていて、
2017年のキセキが制した菊花賞は、
ディープインパクトにとって
母の父として初のG1タイトルとなりました。
父系としても多くの子供が種牡馬入りし、
ディープブリランテ産駒からは
重賞勝ち馬も出てきており、
ディープインパクト系が
発展していくだろうと見られています。
孫世代が活躍し出していますが、
まだ現役種牡馬であるディープインパクト。
これまで、牝馬に大物が多い傾向が
ありましたが、自身を超える牡馬、
そして自身が果たせなかった
凱旋門賞制覇を叶える産駒が
現れることを期待したいものです。
まとめ
父の最高傑作と言われ、
種牡馬として父の後継を担ってきた
希代のスーパーホース、
英雄・ディープインパクトを
ご紹介しました。
これからも毎年のようにクラシック候補を
輩出していくはずの馬ですので、
ディープを知る事が馬券の的中にも
繋がっていくと思います。
これを機に、日本競馬界の
生きる伝説・ディープインパクトを
調べてみるのも良いのではないでしょうか?