日本の公営ギャンブルの一つである『競馬』。
その起源は16世紀のイングランドと言われ
日本でも1862年に現代の競馬の原型となる
近代競馬が始まったとされているほど
長い歴史を誇っています。
そんな日本の競馬、
特にJRA(日本競馬会)が主催する
中央競馬の賞金体系は高く、
世界と比べて全体的に高額と言われています。
ちなみに世界で一番高額なレース賞金は
アメリカのペガサスワールドカップ(G1)で
1200万ドル(約13億8000万円)。
日本一高額なレース賞金は
ジャパンカップと有馬記念で3億円です。
こんなに高額なレース賞金は
全部馬主が受け取る…な訳ありません。
では誰にどのようにして
配分されているのでしょうか?
そこで今回は
競馬の賞金がどのようにして分けられるのか
その配分方法について調べてきました!
賞金がどこから出ているのか
何着までもらえるのかなども
合わせてご紹介していきたいと思います(^^)
競馬の賞金の分配方法
日本競馬でのレース賞金には
分配割合が決められていて、
その割合は以下の通りです。
馬主 | 80% |
調教師 | 10% |
騎手 | 5% |
厩務員 | 5% |
やはり馬主には高配当なんですね。
そりゃそうだ(笑)
その他に
馬の調教師、そのレースで騎乗した騎手、
馬の世話を行なっている厩務員に
配当が分配されるようになっています。
1.競馬の賞金は馬主へ
競馬のレースで獲得した賞金のうち
80%はその馬の持ち主である
馬主に分配されます。
ということは、
冒頭でご紹介したジャパンカップで
優勝した馬の馬主は3億円の80%なので
2億4千万円を獲得できるということです!
ですがその分、
馬主は馬1頭に対して
莫大な金額を使っています。
馬主はまずセリや庭先取引、
トレーニングセール、サマーセールで
馬を購入しています。
その金額は50万円から1億を超える馬も!
2017年開催の『セレクトセール2017』で
ディープインパクト産駒の
牡馬(イルーシヴウェーブの2017)が
6億2640万円の高値で落札されました。
そしてその馬たちを維持するために
- 厩舎に入る前の育成牧場に支払う預託費
- 入厩後に調教師に支払う預託費
を毎月支払っているのです。
それを考えると、
80%分配も納得ができますね(汗)
2.競馬の賞金は厩舎へ
馬主さんの次に分配割合が多いのが
厩舎の調教師で
レース賞金の10%が分配されます。
競走馬は生後半年頃から2歳頃までに
基礎訓練を行い、競走馬として登録されます。
そして2歳の春ごろから
大規模な調教施設のある厩舎に預けられ
本格的な調教がされるのです。
その調教をするのが、調教師です。
調教をするためには、
中央競馬なら日本中央競馬会
地方競馬なら地方競馬全国協会の
調教師免許試験に
合格するのが必須となっています。
超難関の調教師試験に合格し、
競走馬を管理・調教して勝利へ導くため
騎手や厩務員より分配割合が多いのです。
3.競馬の賞金はジョッキーへ
続いて分配されるのは
騎手(ジョッキー)です。
その騎手がいなければ、
レースは完全に馬任せとなってしまいます。
そしてレースでは
馬の競走馬としての力量だけでなく
騎手の力量によっても展開が変わってきます。
そのため騎手の中でも人気の高い人だと
主戦騎手となっていることも多いです。
優勝数はもちろん、騎乗数が多いほど、
自分の収入がどんどん増えていくのです。
詳細については
こちらの記事をご覧ください!
4.競馬の賞金は厩務員へ
最後の5%は厩務員に分配されます。
競走馬を育てていく上で
必要不可欠なのが厩務員。
彼らは競走馬が預けられている厩舎で
主に以下のような仕事をしています。
- 競走馬の健康管理
- 飼葉の世話
- 馬房の清掃や寝藁の準備
- 馬体の洗浄
- 鞍や頭絡など馬具の装着
- レースや調教の前後の運動
結構仕事量が多い…(汗)
しかもこの厩務員、
競馬学校での厩務員課程を履修が必須!
私のようにただ馬が好きだからといって
誰でもなれるわけではないんだそう。
それであれば、5%でも配分がないと
わりには合わないですね。
競馬の賞金はどこから出ている?
ここまでレース賞金の配分を見てきましたが
そもそもこの賞金って
どこから出てるでしょう?
それは馬券の売上からです。
中央競馬は1口100円から購入できます。
そのうち75%は配当金として
残りの25%から人件費などの諸経費と
賞金が出されるのです。
競馬の賞金は何着までもらえる?
競馬新聞を見ると、
5着までしかレース結果が記載がないので
そこまでしか支給されないと思われがちですが
そんなことはありません。
中央競馬のレース賞金には
5着までの入賞賞金の他に受け取れる
賞金があります。
出走奨励金 | 全レースの6〜8着馬に対し交付 |
特別出走奨励金 | 3歳以上のGⅠレースで11位以下の馬 3歳以上の芝1800m以上のGⅡレースで11位以下の馬 |
特別出走手当 | 出走した全ての馬 |
距離別出走奨励金 | 3歳以上の芝1800m以上の平地レースの1〜10着馬 |
内国産馬奨励金 | 平地の全レースで1〜5着となった内国産馬 |
内国産牝馬奨励金 | 平地の新馬・未勝利戦において1〜5着となった内国牝馬 |
レース賞金には
こんなに細かく賞金があるんですね(汗)
より詳しい条件や金額は
JRAの公式HPからご覧ください。
競馬の賞金は同着ならどうなるの?
競馬のレースの着順は
他のスポーツと同じように
写真判定を入れるほど細かく判定されます。
そのため頻繁に起こることはありませんが、
ごく稀に同着になることがあります。
もし同着になってしまった場合の取り扱いは
JRAのHPに載っていました。
【1着同着】
1着が2頭以上となった場合は、いずれか1頭の馬を1着、いずれかの1頭の馬を2着、及びいずれかの1頭の馬を3着とみなします。【2着同着】
2着が2頭以上となった場合は、いずれか1頭の馬を2着、及びいずれかの1頭の馬を3着とみなします。【3着同着】
3着が2頭以上となった場合は、いずれか1頭の馬を3着とみなします。
そうしたら、
レース賞金はどのようになるのでしょう。
2010年のオークスで実際にあった
アパパネとサンテミリオンの1着着で
見ていきます。
レースが同着だった場合、
1着賞金(9700万)+付加賞金(3101万)
2着賞金(3900万)+付加賞金(886万)
を足して2で割ったものが賞金となります。
よって勝ったアパパネとサンテミリオンには
8793.5万が賞金として入りました。
競馬の賞金は生産者にもある?
レースに出走した競走馬の
生産牧場を経営している生産者には
『生産牧場賞』という賞が与えられます。
その金額は以下のように分けられます。
G1競走 | G1以外の 重賞競走 |
特別競走 | 一般競走 (1勝以上) |
一般競走 (新馬・未勝利) |
|
1着 | 100万円 | 65万円 | 45万円 | 38万円 | 34万円 |
2着 | 40万円 | 26万円 | 18万円 | 15万円 | 14万円 |
3着 | 25万円 | 16万円 | 11万円 | 10万円 | 10万円 |
4着 | 15万円 | 10万円 | 7万円 | – | – |
5着 | 10万円 | 7万円 | 5万円 | – | – |
G1以外の重賞では
G2とG3の区別なく一律で同じ金額です。
特別競走では
500万下からオープン特別まで
一律基準で同じ金額です。
この交付金額は
JRAの馬券売上推移によって左右されます。
そのため、前年度の売上が悪ければ
この交付金は下がり、
売上が良ければ、交付金も上がると
いうことになります。
競馬の賞金は牧場にもある?
生産者には『生産牧場賞』があるように
牧場側にも賞があります。
『繁殖牝馬所有者賞』です。
これは出走した馬が生まれた時に
母馬(繁殖牝馬)を所有していた
生産者もしくは馬主に交付されるものです。
交付金額は以下の通りです。
G1競走 | G1以外の 重賞競走 |
特別競走 | 一般競走 (1勝以上) |
一般競走 (新馬・未勝利) |
|
1着 | 130万円 | 80万円 | 45万円 | 40万円 | 36万円 |
2着 | 52万円 | 32万円 | 18万円 | 16万円 | 14万円 |
3着 | 33万円 | 20万円 | 11万円 | 10万円 | 9万円 |
4着 | 20万円 | 12万円 | 7万円 | – | – |
5着 | 13万円 | 8万円 | 5万円 | – | – |
この繁殖牝馬所有者賞も
生産牧場賞と同じく交付金額は
JRAの馬券売上推移によって左右されます。
もし出走馬がG1を1着で優勝し、
母馬を今も所有し続けていた場合、
生産牧場賞(100万) +繁殖牝馬所有者賞(130万)
合わせて230万円を交付されるのです。
競馬の賞金は税金がかかる?
競馬で得た賞金には消費税がかかります。
ただし、調教師に支払う進上金や預託料は
消費税から控除されるので、
その残りから消費税を算出して支払う必要があります。
また、自身の保有馬が賞金を獲得すると
サラリーマンと同じように
所得税の源泉徴収が行われます。
所得税の税額は以下の通りです。
源泉徴収税額=
{1回の支払金額-(賞金×20%+60万円)}×10%
その所得によっては私たちと同じように
還付されることもありますが、
足りない場合は支払わなければなりません。
そのため、確定申告をしなかった場合、
最悪のケースですと『所得隠し』と疑われ、
裁判沙汰になり兼ねませんので
注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は競馬の賞金について
詳しくご紹介していきました。
私も長いこと競馬を見ていますが、
賞金事情のことは知らなかったので
驚くばかりでした(汗)
レースのグレードによっては
億越えをするレース賞金ですが、
これは私たちファンが買う
馬券から捻出されたものだったのですね!
そしてそのレース賞金は
馬主、調教師、騎手、厩務員で
分けられるようになっていて、
生産牧場や繁殖牝馬を所有している
生産者にも特別奨励金があることに
とても驚きました!
まだまだ知らない競馬の世界を
これからもみなさんと一緒に
学んでいけたらと思います。