日本競馬を飛躍的に進歩させた要因が
種牡馬サンデーサイレンスと言われています。
サンデーサイレンス産駒が猛威を振るう中、
クラシック路線でサンデーに勝るとも劣らない
大物を輩出していたのが今回ご紹介する
ブライアンズタイムです。
現役時代は、突出した成績を残した馬では
ありませんが、種牡馬として日本に来てからは
子供たちが大活躍。日本競馬史に残る
大種牡馬となりました。
ブライアンズタイムが遺した子供たちをはじめ
種牡馬としての成績などを振り返って
いきたいと思います。
ブライアンズタイムの産駒!子供を5頭紹介
■ブライアンズタイム血統表
Roberto | Hail to Reason |
Bramalea | |
Kelley’s Day | Graustark |
Golden Trail |
ブライアンズタイムの代表的な子供を
5頭ピックアップしました。
今回、ピックアップした以外にも
ウオッカの父となるダービー馬
タニノギムレットや、
有馬記念を制したシルクジャスティス、
皐月賞馬のノーリーズンやヴィクトリーなど
多くのG1ホース、重賞ホースを
送り出した日本競馬に残る
名種牡馬ブライアンズタイム。
どんな特徴の産駒がいたのか?
この辺りから見て行きましょう!
(成績等は2018年8月1日現在のものです)
1.ナリタブライアン
1994年日本ダービー
■ナリタブライアン(牡)1991年産
母:パシフィカス
母父:ノーザンダンサー
史上5頭目の3冠馬ナリタブライアン。
3冠レースで2着につけた差は、史上最大と
誰もが認めるブライアンズタイムの
最高傑作です。
3冠+有馬記念+朝日杯の
G1・5勝を挙げています。
ナリタブライアンについて詳しくは
こちらの記事をご覧ください。
⇒ナリタブライアンとは?産駒と成績&伝説のレース動画を紹介!
種牡馬入りするも早世して2世代しか
遺せず、ブライアンズタイムの血を広げる
役割は果たせませんでした。
2.マヤノトップガン
1997年天皇賞・春
■マヤノトップガン(牡)1992年産
母:アルプミープリーズ
母父:ブラッシンググルーム
菊花賞、有馬記念、宝塚記念、天皇賞・春
3年連続でG1を4勝したマヤノトップガン。
気分屋な面がありましが、
逃げ、先行、差しと変幻自在の脚質で
ファンも多かった馬です。
現役を退いてからは種牡馬入り。
その産駒からG1勝ちは出ていないものの
重賞ホースが誕生し、後継種牡馬も出ています。
3.サニーブライアン
1997年日本ダービー
■サニーブライアン(牡)1994年産
母:サニースイフト
母父:スイフトスワロー
レースを重ねるごとに力をつけ
人気薄ながら春のクラシックを逃げ切って
皐月賞・ダービーの2冠を制した
サニーブライアン。
地味な母系にも関わらず大活躍したことで
父の遺伝力の強さを証明すると共に
ブライアンズタイム産駒に
使い減りしない!
というイメージを付けた1頭だったのでは
ないでしょうか。
4.ファレノプシス
1998年桜花賞
■ファレノプシス(牝)1995年産
母:キャットクイル
母父:ストームキャット
最近、競馬を見だしたという方には
キズナのお姉さん
と言った方が、わかりやすいでしょうか?
ブライアンズタイム産駒の牝馬の
代表格と言えるのがファレノプシス。
桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯の
G1・3勝を挙げています。
ナリタブライアンとは従兄弟という関係で
3/4同血という血統の名牝です。
5.タイムパラドックス
2004年ジャパンカップダート
■タイムパラドックス(牡)1998年産
母:ジョリーザザ
母父:アルザオ
ブライアンズタイム産駒の獲得賞金№1は
実は、このタイムパラドックスなんです。
中央、地方問わずダートで活躍し、
JCダート、川崎記念、帝王賞
JBCクラシック連覇と5つのG1(Jpn1)に優勝。
大きな故障もなる8歳までダートの
王道路線でコンスタントに結果を
残し続けた馬でした。
ブライアンズタイム種牡馬としての成績/戦績は?
代表的な産駒をご紹介した所で、
続いてはブライアンズタイムの種牡馬成績を
ご覧いただきましょう。
年度 | 順位 | 芝 | ダート | 平均距離 (芝) |
平均距離 (ダ) |
||
出走 | 勝利 | 出走 | 勝利 | ||||
累計 | 4 | 7,162 | 589 | 10,308 | 1,077 | 1,750.9 | 1,592.2 |
2014 | 18 | 151 | 14 | 398 | 29 | 1,785.7 | 1,572.4 |
2013 | 20 | 157 | 7 | 429 | 29 | 1,542.9 | 1,584.5 |
2012 | 20 | 182 | 14 | 406 | 32 | 1,885.7 | 1,610.9 |
2011 | 18 | 144 | 8 | 451 | 43 | 1,825.0 | 1,604.7 |
2010 | 22 | 209 | 6 | 540 | 41 | 1,666.7 | 1,648.8 |
2009 | 14 | 270 | 18 | 564 | 48 | 1,850.0 | 1,579.2 |
2008 | 6 | 329 | 21 | 654 | 59 | 1,838.1 | 1,571.2 |
2007 | 4 | 392 | 28 | 651 | 83 | 1,692.9 | 1,673.5 |
2006 | 3 | 481 | 41 | 691 | 70 | 1,675.6 | 1,572.1 |
2005 | 2 | 511 | 43 | 702 | 92 | 1,741.9 | 1,581.0 |
2004 | 3 | 488 | 30 | 633 | 65 | 1,613.3 | 1,676.9 |
2003 | 2 | 550 | 45 | 608 | 72 | 1,773.3 | 1,663.9 |
2002 | 3 | 502 | 45 | 592 | 54 | 1,797.8 | 1,659.3 |
2001 | 3 | 457 | 43 | 519 | 52 | 1,837.2 | 1,571.2 |
2000 | 3 | 361 | 42 | 392 | 52 | 1,702.4 | 1,490.4 |
1999 | 3 | 316 | 25 | 333 | 44 | 1,788.0 | 1,506.8 |
1998 | 3 | 291 | 22 | 301 | 36 | 1,850.0 | 1,483.3 |
1997 | 2 | 298 | 33 | 264 | 34 | 1,842.4 | 1,526.5 |
1996 | 2 | 340 | 30 | 315 | 48 | 1,553.3 | 1,479.2 |
1995 | 3 | 267 | 27 | 233 | 40 | 1,922.2 | 1,542.5 |
1994 | 4 | 149 | 22 | 127 | 29 | 1,854.6 | 1,648.3 |
1993 | 117 | 41 | 7 | 8 | 0 | 1,385.7 | 0.0 |
初年度産駒が古馬となってからは
10年以上に渡ってTop3に入る
安定した成績を残しました。
ナリタブライアンやマヤノトップガン
という芝の大物を出した一方で、
下級条件ではダートで活躍する馬も多く
通算でもダートの勝利数が圧倒しています。
ブライアンズタイムの種付け頭数と種付け料を紹介
1990年から2013年まで日本で種牡馬として
活躍していたブライアンズタイム。
種付け頭数は、延べ2000頭以上。
そのうち1500頭以上が血統登録され
約1400頭が競走馬としてレースに出走ました。
産駒から3冠馬が誕生するなど
クラシックで活躍する子供が出ていたことから
全盛期には種付け料が1500万円前後で
設定されていたと言います。
晩年でも350万円~400万円に設定され
トップクラスの種牡馬として
最後まで活躍しました。
ブライアンズタイムの馬主は?
アメリカで誕生し、アメリカで競走生活を
送ったブライアンズタイムの馬主は
James W.Phillipsさん。
種牡馬として日本に来る際には、
「ブライアンズタイムの会」という
シンジケートが結成され、実質的に
馬主のような存在でした。
ブライアンズタイムの死亡の原因は?
28歳という高齢にも関わらず、健康で
種付けもしていたブライアンズタイムですが、
放牧中に転倒。
その結果、右後大腿骨骨折という重度の
故障を負ったために、安楽死の処置が
取られました。
亡くなった年も9頭に種付けを行っているので
非常に体が強くタフな馬だったのでしょう。
ブライアンズタイムの現役時代の成績は?
最後にブライアンズタイムの現役時代の
成績をご紹介します。
アメリカで現役を過ごし
通算成績は、21戦(5.2.6.8)。
フロリダダービー、ペガサスハンデと
2つのG1レースに勝利した他
3冠第2戦のプリークネスSで2着、
最終戦のベルモントSで3着に入る
活躍を見せています。
ブライアンズタイムの脚質は?
ブライアンズタイムの現役時代の
脚質を探ってみたいのですが、30年前に
アメリカで活躍していた馬なので
詳細な情報がありませんでした。
いくつかの情報から推測できるのは、
アメリカのダート馬には珍しい
差し馬タイプだったようです。
そのために、届かずに3着という
レースが多かったのではないでしょうか。
レース動画を紹介
脚質がハッキリとわからない
ブライアンズタイムですが、
いくつか勝利したレースの動画を
見付けましたのでご紹介します。
■1988年フロリダダービー
アメリカのクラシック第1弾
ケンタッキーダービーの前哨戦となる
G1レースがフロリダダービー。
このレースに勝利した事で、
有力馬として本番に臨むことになりました。
■1988年ジムダンディステークス
3歳夏に出走したG2レース。
内からスルスルと進出すると
直線で瞬発力を発揮し、見事に
優勝を飾りました。
まとめ
90年代後半にサンデーサイレンスと共に
日本競馬界を牽引した種牡馬
ブライアンズタイムをご紹介しました。
仕上がりが早くクラシックを狙える!
という一方で、
タフで使い減りしない!
という馬主にとってありがたい要素を
満たす産駒を多く送り出しました。
また、ダートを苦にしない産駒なので
地方競馬でも席巻。
戦後のサラブレッドの最多勝記録を持つ
栃木のブライアンズロマンや
交流G1勝ちのトーホウエンペラー、
フリオーソも送り出しています。
また母の父としてもエスポワールシチー、
ディーマジェスティ、クリンチャーなどを
送り出していますので、
馬柱でブライアンズタイムの名前を
見付けたら、気にしてみてください。