今年の桜花賞の後
勝ったアーモンドアイの
ルメール騎手から
「トリプルクラウンも狙える」
というコメントがありましたが、
これまでに牝馬三冠を
達成したのは4頭います。
ジェンティルドンナ、アパパネ、
スティルインラブ、そしてメジロラモーヌ。
1970年から牝馬にも三冠路線が
整備され、施行から16年経って
遂に現れた三冠牝馬メジロラモーヌ。
歴史的偉業を成し遂げた彼女ですが
ひ弱だったことから、
デビュー前はあまり
期待されていませんでした。
低評価を覆し、名牝の地位に上り詰めた
メジロラモーヌについて、
今回はご紹介します。
メジロラモーヌの成績/戦績は?
(年齢は当時の表記です)
両方の飛節に問題を抱えていた
という幼駒時代のメジロラモーヌは
なかなか預託先が決まらなかったと言います。
美浦の奥平真治厩舎に入厩が決まり
3歳になった辺りから
飛節の難点が治まり、
見栄えのいい馬体へと
変貌を遂げていきました。
3歳10月の東京ダート1400mで
初陣に臨んだラモーヌは、
スタートから先頭に立つと
直線でも後続を大きく引き離し、
2着に3.1秒もの差を付ける
圧倒的なレースでデビュー戦を飾ります。
2戦目で早くも重賞に挑戦しますが
スタート直後に他馬と接触した影響で
折り合いを欠き4着に敗退するも
続く条件戦を快勝したメジロラモーヌは
3歳最後のレースとして
G3の3歳牝馬ステークスに出走。
2番人気ながら、2着に3馬身差をつけ
かつ好タイムで優勝し、
最優秀3歳牝馬の勲章を手にします。
- 3歳時戦績
1985 | 10. | 13 | 東京 | 3歳新馬 | 1人 | 1着 | ダ1400m(良) | 1:26.1 | 大差 | |
11. | 3 | 東京 | 京成杯3歳S | GII | 1人 | 4着 | 芝1400m(良) | 1:23.9 | 0.7秒 | |
11. | 30 | 中山 | 寒菊賞(400万下) | 1人 | 1着 | 芝1600m(良) | 1:35.7 | 1 1/4 | ||
12. | 14 | 中山 | 3歳牝馬S | GIII | 2人 | 1着 | 芝1600m(良) | 1:34.9 | 3 1/2 |
4歳初戦、クイーンカップに出走するも
イレ込みが激しく4着に敗退。
続いて桜花賞トライアルの
4歳牝馬特別(西)に出走すると
直線入り口で、ほぼ最後方まで
下がってしまう不利を被りながら
一気の追い込みで前を行く馬を差し切り
クラシックの本命として
桜花賞に臨むことになります。
その桜花賞では中団から進めると
直線で早めに抜け出し、そのまま押し切り
一冠目を獲得します。
これまでの2敗が東京競馬場だったことから
不安を振り払うためにトライアルの
4歳牝馬特別(東)に出走。
ここも危なげない競馬で勝利し
本番のオークスを迎えます。
スタートで後手を踏んだものの
4コーナーでは先団に取り付き
直線半ばで先頭に立つと
そのまま後続を抑え込む
横綱相撲を見せ、10年ぶりの
牝馬クラシック二冠を達成しました。
夏の休養期間中に
少しの調整のズレがありましたが
ローズSで復帰するとクビ差で勝利。
トライアル三冠を一足先に達成します。
そして迎えたエリザベス女王杯。
1.3倍の圧倒的人気を集めたメジロラモーヌは
残り800m地点からスパート。
早めに先頭に立つと、
最後は追い上げてきた馬を
半馬身差抑え切り、
史上初の牝馬三冠馬となりました。
引退レースとなった有馬記念では
不利があり能力を発揮できず9着。
唯一無二の三冠牝馬の勲章を手に
母への道を歩み出しました。
- 4歳時戦績
1986 | 1. | 26 | 東京 | クイーンカップ | GIII | 1人 | 4着 | 芝1600m(良) | 1:36.5 | 1.0秒 |
3. | 16 | 阪神 | 4歳牝馬特別(西) | GII | 1人 | 1着 | 芝1400m(稍) | 1:23.9 | クビ | |
4. | 6 | 阪神 | 桜花賞 | GI | 1人 | 1着 | 芝1600m(良) | 1:35.8 | 1 3/4 | |
4. | 27 | 東京 | 4歳牝馬特別(東) | GII | 1人 | 1着 | 芝1800m(良) | 1.50.8 | 1 1/2 | |
5. | 18 | 東京 | 優駿牝馬(オークス) | GI | 1人 | 1着 | 芝2400m(良) | 2:29.6 | 2 1/2 | |
10. | 12 | 京都 | ローズS | GII | 1人 | 1着 | 芝2000m(良) | 2:01.3 | クビ | |
11. | 2 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 1人 | 1着 | 芝2400m(良) | 2:29.1 | 1/2 | |
12. | 21 | 中山 | 有馬記念 | GI | 2人 | 9着 | 芝2500m(稍) | 2:34.6 | 0.6秒 |
通算成績12戦9勝 [9-0-0-3]。
2018年の時点まで、史上唯一の
三冠+トライアル三冠という戦績を誇る
歴史に燦然と輝く名牝でした。
メジロラモーヌの賞金はいくら?
メジロラモーヌが獲得した賞金は
3億1192万円。
牝馬で初めて、獲得賞金額が
3億円を突破した馬となりました。
また、4歳時の重賞6連勝は
当時の記録でもありました。
メジロラモーヌのレース動画
歴史に残る名牝・メジロラモーヌの
レースを動画と共に
ご紹介しましょう。
今回は、
という三冠レースすべてを
ピックアップします。
1.桜花賞
前走で圧巻のレースを見せていた
メジロラモーヌは、単勝1.6倍という
断然の支持を集めて三冠第一弾
桜花賞に臨むことになります。
イレ込み気味でテンションが
高かったものの、8番手を追走し、
3コーナーから進出すると
残り200mで先頭に立って押し切る
という大人びたレース運びで
一冠目を獲得しました。
このラモーヌの桜花賞が
名門メジロ軍団にとって
初のクラシック制覇となりました。
2.オークス
3連勝でこの日を迎えた
メジロラモーヌ。
気性面から距離が不安視されたのか
桜花賞よりオッズを落とし
単勝1.8倍でオークスに出走します。
スタート直後に軽く躓いた影響で
道中はいつもより後方となった
ラモーヌでしたが、
3コーナーから楽に進出。
直線は大外を豪快に伸び
後続に2馬身半をつけ快勝。
このレースぶりを見た関係者から
「史上最強牝馬」という声も
飛び出るほどの強さを見せつけました。
3.エリザベス女王杯
前走がクビ差の辛勝。
さらに夏場に調整の狂いがあった中で
迎えた大一番のエリザベス女王杯。
史上初の牝馬三冠を期待するファンは
ラモーヌも1.3倍というオッズで
後押しします。
好スタートから3番手で
進めると3コーナー辺りから
持ったままの手応えで
先頭に並びかけます。
直線に入り、先行馬を
置き去りにすると
追い上げてくる馬たちを
抑え切り、優勝。
競馬史上に残る牝馬三冠を達成しました。
メジロラモーヌは美人なの?
出展:http://horsephoto.blog.so-net.ne.jp/
黒光りする青鹿毛の
バランスの良い馬体と
すっと引かれた一筋の流星を持った
メジロラモーヌは美人な馬
としても有名でした。
父は不格好な馬として知られており
ラモーヌの気品漂う美しさは、
祖父そっくりだったという
証言もあります。
美しさと強さを併せ持った姿は
競馬の歴史の中で
類を見ないと呼ぶ関係者もいたほど
フォトジェニックな存在でした。
メジロラモーヌの血統は?
先ほど少し触れた
不格好な父の名はモガミ。
名種牡馬リファールの血を引き、
メジロラモーヌのほかに
ダービー馬シリウスシンボリや
ジャパンカップ優勝のレガシーワールド、
秋華賞で大穴を開けたブゼンキャンドル
といったG1馬を送り出しました。
母メジロヒリュウは5勝を
挙げて繁殖入り。
ラモーヌは弟にダービー2着の
重賞勝ち馬メジロアルダン、
姪に重賞2勝のメジロランバダがいる
メジロ軍団を支えた血統の中に
誕生した馬でした。
メジロラモーヌの性格は?
2戦目で他馬と接触して
折り合いを欠いたり、
4歳となってからもレース前に
イレ込むことがあった
メジロラモーヌは、気性の荒い
性格だったと考えられます。
父モガミは気性難の馬を排出し
気性の悪い馬の代名詞的存在
だったため、ラモーヌも
その血を受けついでいたのでしょう。
しかし、ラモーヌの場合は、
モガミ産駒の中ではマシで
気性の荒さが、レースでの
闘争心や勝負根性に繋る
タイプだったため
能力を存分に発揮できたと言えます。
メジロラモーヌの脚質は?
6連勝を記録した間、
上がり最速を5回、
2位を1回、記録している
メジロラモーヌは鋭い決め手を
持っていた馬でした。
道中は5番手から10番手で進め
3~4コーナーから上がっていき
直線で先頭に立つスタイルで
前目につける差し脚質で
強さを発揮していきました。
メジロラモーヌの騎乗騎手は誰?
史上初の三冠を達成した
メジロラモーヌのパートナー
と言えば河内洋騎手。
当初は小島太騎手や柏崎正次騎手が
騎乗していましたが、
4歳牝馬特別(西)から
河内騎手が手綱を執ると
そこから重賞6連勝を飾り
引退レースの有馬記念まで騎乗しました。
カッとする部分があったラモーヌに
当たりが柔らかい河内騎手が
マッチした事が好成績に
繋がったと言えるでしょう。
河内騎手は、この辺りから
「牝馬の河内」と
呼ばれるようになったと
言われています。
メジロラモーヌの馬主は?
出展:http://s-4492ism.seesaa.net/
メジロラモーヌを所有したのは
昭和を代表するオーナーブリーダー
であるメジロ牧場。
それまでも活躍馬を多く
所有してきましたが、
初代代表の北野豊吉さんの
天皇賞にこだわるポリシーからか
古馬になってから大成する馬が多く
ラモーヌが初のクラシックホースでした。
メジロラモーヌの産駒は?
4歳で引退したメジロラモーヌは
生まれ故郷のメジロ牧場に帰り
繁殖牝馬としての馬生を
送ることになりました。
ラモーヌの実績に恥じない
トップクラスの種牡馬を
交配されましたが、
自身を超えるような産駒は
誕生することがありませんでした。
しかし、長女に当たる
メジロリベーラの系統から
交流G1勝ちのフィールドルージュや
ファルコンSの勝ち馬
コウソクストレートが生まれており
ラモーヌの血は現在も受け継がれています。
メジロラモーヌとシンボリルドルフの関係は?
牝馬三冠を達成したメジロラモーヌと
無敗の牡馬三冠馬で七冠を獲得した
皇帝シンボリルドルフの
夢の交配が行われ
1990年に10冠ベイビーとなる
牝馬が誕生しました。
多くの注目を集めますが、
脚元が弱かったため
1戦のみで引退し繁殖入りしています。
10冠ベイビーとして話題になったのが
先ほど少し紹介したメジロリベーラ。
競走馬として大成はできませんでしたが、
三冠父母の血を伝える役割を
果たしています。
まとめ
今回は、史上初の三冠牝馬
メジロラモーヌをご紹介しました。
ゆったりとしたローテーションが
主流となった現在の競馬を
考えると三冠+トライアル三冠
というのは、ラモーヌだけの
偉業となるでしょう。
強さと美しさを併せ持った名牝
メジロラモーヌの名前を
ぜひ覚えておいてください。